逆張り思考

父の失踪、母のノイローゼ、経済的な困窮……。  14歳のぼくは、まったく無力でした。動揺もしました。ストレスで顔がひきつったり、朝起きられなくなったり、集中力を欠いて勉強がおろそかになったりしたこともありました。 ですが一方で、この状況を客観的に、俯瞰している自分もいました。
「人生で起こる出来事には、すべて前向きな意味があるはずだ」
「今、自分が置かれている状況にも、何らかの意味があるはずだ」  
と、肯定的に受け止めようとしていたのです。

俯瞰することの重要性。辛い事実からどう考えるか。

ぼくの心が折れなかったのは、考え方を逆にしたからです。 「すべての経験が学びであり、プラスになる。だから楽しもう」 と現状を前向きに解釈したからです。

マイナスの経験も楽しむマインドセット。そもそもマイナスなどなく全てプラス、学びとなる。

ただし、「ひとりの人間として、父は惜しいことをした」と感じています。 博識でセンスもあったのに、それを発揮する場所を間違えた。

別の言い方をするなら「自分の居場所を見つけようとしなかった」からです。  

父が客観的に自己分析をして、長期的に目標を見据え、戦略的に自分を動かしていたなら、兄のように、アカデミックな分野で活躍していた可能性もあります。 自分の個性を理解し、「どの場所にいることがベストなのか?」を考えて試行錯誤をしていれば、失踪することはなかったはずです。

自分がどの場所にいることが最適化を考えて、試行錯誤をする。

「今までの自分とは逆の行動」あるいは「人とは違う行動」を取りはじめることは、自分を変える第一歩になります。人と同じ行動を取っている限り、おおむね人と同じ成果に落ち着くだけです。

僕の場合で言うと、人に会うことが大事。これまでは一人で働いていたが、もっと世界は広い。
広い世界を見てみよう。

こうして人生のある時期に多角的・集中的に教養に触れた結果として、「自分の人生が豊かになった」という実感が、今でもあります。

一時期の集中や多角的に物事を考えて取り組むことが人生をより豊かにする。もっといろんなジャンルのいろんな本を読もう。

 世の中は常に広がっていっています。知るべき情報もたくさんあります。 「自ら情報とつながった」 「自ら人とつながった」 「自ら外の世界とつながった」 ことで、この時期、ぼくは複眼的に物事を見る大切さを知ったのでした。

受動的にではなく、主体的に一次情報をとりに行く。世界と繋がること。

【兄・成田悠輔から受け取った「読書リスト」】
●浅田 彰『「歴史の終わり」を超えて』(中公文庫)
●浅見定雄『なぜカルト宗教は生まれるのか』(日本キリスト教団出版局)
●市川白弦『仏教者の戦争責任』(春秋社)
●大西巨人『精神の氷点』(みすず書房)
●鎌田 慧『狭山事件』(草思社)
●柄谷行人『〈戦前〉の思考』(講談社学術文庫)
●小島信夫『抱擁家族』(講談社文庫)
●小室直樹『痛快!憲法学』(集英社インターナショナル)
●坂口安吾『堕落論』(新潮文庫)
●関 曠野『民族とは何か』(講談社現代新書)
●田川建三『キリスト教思想への招待』(勁草書房)
●田口賢司『ラヴリィ』(新潮社)
●対馬 斉『人間であるという運命』(作品社)
●遠山 啓『無限と連続』(岩波新書)
●中原昌也『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(河出文庫)
●蓮實重彦『スポーツ批評宣言』(青土社)
●平井宜雄『法律学基礎論覚書』(有斐閣)
●福田恆存『人間・この劇的なるもの』(新潮文庫)
●森川嘉一郎『趣都の誕生』(幻冬舎)
●吉本隆明・武井昭夫『文学者の戦争責任』(淡路書房)

全部読んでみよう。

親の時代は、子どもからすれば「30年古い」わけです。「良い」とされる価値観も当然違う。大事なのは、「その時代時代で、自分の頭と体で感じ、学び、行動する」ことです。子どもにあえて何も言わない、黙って子どもの自由意思に任せるという、親の「戦略的放任」こそが大事でしょう。

戦略的放任。

プラス思考は性格ではなく、スキルです。「すべては学びになる」と自己暗示をかけるように思い込むことからはじめて、だんだんと身につけていけるもの。それによって、自然とものの見方や考え方が変わり、苦難もしなやかに乗り越えていく人生に近づいていけるはずです。

このスキルを身につけるためのポイントはとてもシンプルで、とにかく「思い込む」こと。「落ち込むのは時間の無駄だ」と、強引に自分に言い聞かせるのです。 うまくいかなかったとき、不振のとき、実力が発揮できなかったとき、ぼくは、こう思い込むようにしています。

失敗した時にいかに落ち込む時間を短くするか。これが今の自分に足りていない力。
強引に「落ち込むのは時間の無駄だ」と言い聞かせる。結局、落ち込んでいる期間は何も成長していないことを知る。

①どうして、失敗したのか?(原因)
②どうすれば、改善できるか? 次に同じ失敗をしないか?(改善策・解決策)  
この2つを言語化し、②が決まったらすぐに実行するのです。 落ち込んでいる時間は、言いかえると思考停止している状態ともいえます。そして思考が停止すれば、行動が、すべてが止まってしまいます。

思考停止=行動停止→成長がない(楽しくない)

人生において大切なのは「失敗しない」ことではなく、「失敗したあとに、すぐに次に行く」 「失敗したあとに、もう一度チャレンジする」  ことです。 つまり、行動の量を増やすこと。

すぐに起き上がれ。くよくよするな。無理やり「落ち込むのは時間の無駄」と考えろ。

先行きが不透明な今、就活生の安定志向はますます強まっているそうですが、もはや「安定した仕事」とは、「年齢を重ねるにつれて昇給し、定年まで働ける仕事」のことではありません。  
確かな安定とは、「どこでも生きていける力が、身についた状態」のことです。
「会社の一部として働く力」よりも、「どこでも生きていける力」を伸ばしたほうが結果的に安定します。変化に対応できるからです。 自分の個性(強み)よりも会社に仕えることを重視した働き方をしているかぎり、本当の意味での「安定」を得ることはできないと思います。

自分が何かに悩んでいるのなら、実際に 「その場所に行ってみる」 「その人に会いに行ってみる」 ことが一番だと思います。 そこで心が動いたのなら、思わず大きな声が出てしまったのなら、ワクワクして夜眠れなくなったのなら……、それは、自分が進むべき世界線です。

場所に行く。人に会いに行く。僕に今まで足りていなかった力。

どの道を選ぶにせよ、大切なのは、自己理解と目的意識を持つことを怠らないことです。「自分はなぜ、その仕事をしたいのか?」「どうしてその職場で働きたいのか?」を明確にし、その目的意識にそって仕事を選択する。そして、できるだけ人と無駄に競争しない方法を考えることが大切です。

道を選ぶときはファジーさを捨て去り、明確にすること。
「なぜその人に会いたいのか?」「どうしてそこで働きたいのか?」考える。

 起業家には、2つのタイプがいると思います。
タイプ① 自分ひとりで会社を立ち上げて、自分ひとりで支援を勝ち取りながら、不安を次々と払いのけ、ひたすら突き進むタイプ
タイプ② 自分の実力を冷静に見つめ、恐怖や不安と折り合いをつけながら、少しずつ自信を獲得するタイプ

曲がりなりにも、自分は起業家である。成田さん自身は②と言っていたが、自分は①なのかも知れない。
自分の馬力でガンガン前に進む。でも馬力がまだ弱い。強くしていく。

ぼくが幸運をつかみ取れたのは、成熟業界から離れて、 「大きな地殻変動が起きているところ(業界や会社)」 にいたからです。

成長産業、もしくは誰も目をつけていないような業界はアツい。会社の成長と共に自分も急速に成長できるチャンスが眠っている。

「競争は、負け犬のすることだ」 この言葉を発したピーター・ティールも、もともとはニューヨーク州の弁護士を目指すエリートでした。

競争せずに勝つ。

クラウドワークスのメンバーの多くは、「成長以外は死」といった精神性を持っているため、守りに入ることはありません。時にはそれがリスクにもつながりますが、ぼくをはじめ多くのメンバーが、 「リスクを負わなければ、スタートアップがこの社会に存在する意味がない」

リスクを負い前進し続けないと、僕もこの社会に存在する意味はない。
ただ、自身の(そして会社としての)リスク許容度も肝心。その許容度の中で目一杯のリスクを負うこと。

今の時代、「多くの人と同じレールに乗っていれば安泰」ではないことは先述した通りです。競争の世界から抜け出すことが難しくなりますし、何より日本全体が停滞しているので、平均的に自分も停滞していく可能性が高いです。

正規分布の大多数にならないこと。はみ出ること。
競争の世界から抜け出すには、自分の強みを洗い出し、情熱の所在を明らかにしていく必要がある。

この「運がやってくるまで」が重要なキーワードです。ほとんどの人は、最初の2、3回、最初の数ヵ月、数年で、成果を求めます。しかし、成果はすぐに手に入るとは限りません。だからたやすくあきらめないこと。「運はいつやってくるかわからない」ことを理解していれば、途中で行動をやめたり、自分の個性や目標を見失ったりすることもないと思います。

打席に立ち続ける。粘り強く諦めない。

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この記事を書いた人

1992年生まれ。30歳のときに活力の衰えを感じ、危機感を覚える。テストステロン値の低下が招いたものだと仮説立てる。筋トレを再開してから、活力がみなぎる。趣味はゴルフ。

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