人を助けるとはどういうことか

目次

もくじ

人を助けるとはどういうことか

本書での私の目標は、求められたり必要とされたりするときに真の支援ができ、支援が必要だったり提供されたりしたときに受け入れられるだけの充分な洞察力を読者に与えることだ。どちらも、われわれが願っているほど容易でない場合が多い。

本の最終ゴール

経済と演劇

いずれわかるだろうが、人はあらゆる人間関係で返礼を期待している。返礼をしなければ、腹を立てる人が出てくるし、関係の悪化につながるだろう。

ギブアンドテイク

したがって、社会的相互作用とは、双方の面目を保つという微妙なバランスが必要な行為か、地位を得るための機会である。スティーブン・ポッターはこれを「先に貸しを作る」と表現している。

ふむ。

言い換えると、ルールを無視して互いを認めようとしなければ、社会生活はたちまち悪化して個人主義に走り、人々は暴徒と化して社会不安が急増するだろう。

ルール、規範、モラル、常識、暗黙の了解

信頼には社会的経済学から由来する二つの要素がある。他人を信じるとは、次の二つを意味する。

2つの意味が次

一 その人間との関係の中で、自分がどんな価値を主張しても、理解され、受け入れてもらえること  二 相手が自分を利用したり、打ち明けた情報を自分の不利になるように用いたりしないと思うこと

理解することの重要性。理解されることの重要性。相手を利用しない。利用されない。

権威を備えた地位にいる人間は、いっそうあらたまった雰囲気を漂わせているだけでなく、公の場や人間関係でのふるまいにもより多くのルールを持っている。

たしかにガチガチな感じはある。

どんな種類にせよ、関係を築くためには、社会経済や面目保持という文化的なルールに敏感であることが求められる。

要するにコミュ力。

成長するにつれて、われわれは無数の状況への対処法を学ぶ。どの状況も、役者や観客の役割を適切に果たすことを求めている。

人生の役者を演じている

成功する支援関係とは

支援者の役割を演じると、たちまち地位と権力を得る──文字どおりの意味で言えば、落ち込んでいる誰かを助ける場合がそうだ。

人間はみな演技してる

要するに、そもそもどんな支援関係も対等な状態にはない。クライアントは一段低い位置にいるため、力が弱く、支援者は一段高い位置にいるため、強力である。

対等な関係で仕事をするのは難しい。

クライアントが陥りやすい五つの罠
①最初の不信感
②安堵
③支援の代わりに、注目や安心感、妥当性の確認を求めること
④憤慨したり防衛的になったりすること
⑤ステレオタイプ化、非現実的な期待、知覚の転移

支援者が陥りやすい六つの罠

①時期尚早に知恵を与える
②防衛的な態度にさらに圧力をかけて対応する
③問題を受け入れ、依存してくることに過剰反応する
④支援と安心感を与える
⑤距離をおいて支援者の役割を果たしたがらない
⑥ステレオタイプ化、事前の期待、逆転移、投影

成功する支援関係を築くには、クライアントの立場を確立してくれる支援者の介入が必要である。これを実行するにあたって、支援者はまずクライアントに対してどんな役割を演じるかを明確にしなければならない。あまり意識されないことだが、支援者は役割を選択できる。その方法は、長期にわたる人間関係から生まれる。

まとめ

支援の種類

専門家の役割が本当に助けとなる可能性は、以下の条件が満たされるかどうかによる。  
一 クライアントが問題を正しく診断しているかどうか  
二 クライアントがこの問題を支援者ときちんと話しているかどうか  
三 支援者には情報やサービスを提供する能力があると、クライアントが的確に評価しているかどうか  四 支援者にそうした情報を集めさせることや、支援者が勧める改革を実行することを、クライアントがよく考えているかどうか  
五 客観的に分析でき、クライアントが利用できる情報に落とし込める外的現実があるかどうか

大切なポイント

われわれの誰もがクライアントとして、支援者の助言や提案がどれほど的外れのものになりうるかを経験したことがある。また、こちらが助言を求めたとはいえ、何かをしろと命じられることがどれほど不快かという点も。

当事者(クライアント)が一番良く分かっている。それを引き出す。

要するに、医師としての役割がどの程度成功するかは、以下の点にかかっている。  
一 クライアントが正確な情報を明かす気があるかどうか  
二 クライアントが診断や処方を受け入れ、信じるかどうか  
三 診断のプロセスによる結果が正確に理解されて、受け入れられるかどうか  
四 勧められた変化をクライアントが実行に移せるかどうか  
五 クライアントが依存心を強めた結果が、最終的な解決策の助けとなるのか、妨げになるのか

権威を行使せずに傾聴をする。信頼構築。

この役割の中心にあるのは、クライアントが主体的であり続けるように──つまり診断や改善のイニシアティブを保持し続けるように、クライアントを励まさねばならないという前提だ。なぜなら、識別された問題を抱えているのはクライアントだけだし、自らの状況の真の複雑さを知っているのも、自分たちの文化で何がうまくいくかを心得ているのも彼らだけだからである。

ほんとそれ。クライアントが一番わかっている。それを引き出す手伝いするだけ。大切なのは質問。

プロセス・コンサルタントの役割の適用は、以下のような前提に基づいている。  
一 クライアントというものは経営者であれ、友人や同僚であれ、あるいは学生や配偶者、子供などであっても、何が本当にうまくいっていないのか、実際の問題が何かを診断する上で、どんな助けが必要かを知らない場合が多い。しかし、問題を抱えて生きていくのはクライアント自身だけなのだ。  
二 クライアントは、コンサルタントがどんな支援を与えてくれるのかをわかっていない場合が多い。どのような助けを自分が求めているかを知るためのガイダンスが必要だ。  
三 クライアントの大半は物事を改善しようという意図を持っている。だが、何をどのように改善するかを見極めるには、支援が必要だ。  
四 自分が置かれた状況で何が最終的に効果をあげるかがわかるのは、クライアントだけだ。  
五 自分自身で問題を見抜いて対応策を考えないかぎり、クライアントが解決方法を実行に移す可能性は低い。また、そうした問題が再発したときに、修復する方法が身につかなくなる。  
六 支援の最終的な機能は、診断するためのスキルをクライアントに伝え、建設的な介入を行うことだ。そうすればクライアントは自力でもっと状況を改善していくことができる。

プロセスコンサルタント→専門家

どんな支援の状況も、プロセス・コンサルタントの役割を果たす支援者によって始められ、以下のことが実行されねばならないのだ。  
一 状況に内在する無知を取り除くこと  
二 初期段階における立場上の格差を縮めること  
三 認識された問題にとって、さらにどんな役割をとるのが最適かを見極めること

この本、題名から考えれないほど良本(感想)

控えめな問いかけ

クライアントと支援者の社会的地位を最もうまく釣り合わせるコミュニケーションのプロセスは、何か価値あるものを支援者がクライアントに与えることだ。

GIVE

次の基本的な四種類に分けて問いかけを考えると、非常に有益だろう。  
1 純粋な問いかけ  
2 診断的な問いかけ  
3 対決的な問いかけ  
4 プロセス指向型の問いかけ

問いかけの種類

それどころか、クライアントはふいに話を打ち切り、ずばりと尋ねるかもしれない。「あなたはどう思いますか」とか「それについて私はどうすべきでしょうか」と。このとき支援者は、質問に答えることによって、いきなり専門家になるという罠に落ちないようにしなければならない。助言や提案を聞き入れる準備が、クライアントにはまだできていないかもしれない。そう感じたら、もっと情報を提供させる立場に相手を置き続けるための選択肢がいくつかある。その一つは、会話をこの次の段階に導くことだ──つまり、診断的な問いかけをする段階である。

これあるあるだ。

要するに、クライアントにはあらいざらい打ち明けてもらわねばならない。さもなければ、支援者はどんなことが起きているのか、現実的に意味をつかめないのだ。

これを診断的な問いかけによって行う。

支援者はクライアントが傷つきやすく、敏感な領域を知るようにしなければならない。そして、そうしたものを避けるか、思いやりのある態度で対処すべきだ。

業界の知識をしっかりとまずは入れる必要がある。

支援者がとれるもう一つの行動は、クライアントが何かを独力でやるたびにポジティブな励ましを与えることだ。

なるほど。応援をする。

一 クライアントに主導権を握らせ続け、自分のために問題を能動的に解決する立場を取り戻せるようにすること  
二 ある程度まで自分のジレンマを自力で解決できるという自信を与えること  
三 クライアントと支援者が協力できるように、なるべく多くのデータを明らかにすること

プロセス

一 純粋な問いかけ──クライアントの話だけに集中するもの  
二 診断的な問いかけ──感情や、原因分析、行動の代替案を引き出すもの  
三 対決的な問いかけ──現状について支援者自身の見解をもたらすもの  
四 プロセス指向型の問いかけ──クライアントに支援者との即座の相互関係に専念させるもの

問いかけの種類

問いかけを活用する

彼女が高額だと信じ込んでいる余分な費用を、相手が払いたがるはずはないと推測したからである。

推測はよいがそれは「あくまで推測の域を出ない」

慢性的な支援が必要な例では、自問すること(破滅的な罠に落ちるのを避けるため)と、必要に応じて役割を変えることを学ぶのが特に重要である。

役割を変える。演じる。

チームワークの本質とは

成果をあげるチームとは、各メンバーが自分の役割を適切に果たすことによって、ほかのメンバーを助けているチームだと定義できるだろう。

たしかに。自分の役割を演じきる

チームワークの本質とは、すべてのメンバーにおける相互の支援を発達させ、持続させるということだ。

相互支援(助ける助けられる)と、持続

したがってチーム・ビルディングとは、単にクライアントと支援者の一つの関係を作ることではなく、メンバー全員における人間関係を作ることなのである。

優れたリーダーが着目するのは人間関係と成果

一 私はどんな人間になればいいのか。このグループでの私の役割は何か。  
二 このグループで、私はどれくらいのコントロール、あるいは影響を及ぼすことになるか。  
三 このグループで、私は自分の目標、あるいは要求を果たすことができるか。  
四 このグループで、人々はどれくらい親しくなるだろうか。

チームへの貢献

メンバーは互いを充分に知っていなければならない。グループの任務を達成する中で自分の役割を果たすことを、ほかのメンバーが信頼できるぐらいには知り合っておくべきである。

チームビルディング

そのようにより信頼し合う関係においてすら、敬意と品行のルールを守らなかったり、支援の要求や提供が公正さや妥当性という点で不適切だったりしたら、たちまち外科医が看護師を怒らせるとか、逆に看護師が外科医を怒らせる結果になるということだ。

積み上げる信頼は長いが、崩れるときは一瞬。儚いな〜。

この意味で、人は実行するつもりのものを確実にするために、人生で毎日、フィードバックを求めたり利用したりしている。

たしかに。

こうしたコミュニケーションを安全に生まれさせるには、「オフライン」として定義される、時間や空間が必要である。

最近つくづく本当にそうおもう。オフラインでないとなかなか関係構築しにくい。

支援するリーダーと組織というクライアント

プロセス・コンサルテーション10の原則

原則1 絶えず人の役に立とうと心がける。     
Always try to be helpful.
コンサルテーションとは、役に立つことをすることだ。したがって、役に立とうという意図もなく、役立つことを目指していないのなら、人の助けになるような関係をうまく生み出すことなどおぼつかないことは明らかだ。可能なら、あらゆる接触が、相手にとって役に立つと思われるようにしたいものだ。

原則2 今の自分が直面する現実からけっして遊離しないようにする。     
Always stay in touch with the current reality.
私の中で、またクライアントの会社の中で生じている現実というものがわかっていなかったら、人の役に立つことなどできない。したがって、クライアントの会社の誰に対するどのような接触においても、診断に役立つ情報が手に入るはずだ。その情報は、クライアントの会社の、「今、ここ」における状態、また、クライアントと私の関係における「今、ここ」の状態について、クライアントと私に対して教えてくれる情報なのだ。

原則3 自分の無知を実感する。     
Access your ignorance.
私が自分自身の内なる現実というものを見出す唯一の方法は、知っていることと知っているつもりになっていることの区別や、知っていることとほんとうは知らないことの区別を学ぶことだ。置かれた状況から遊離して、状況を調べるだけの智恵がなければ、私は、当面する現実がいったいなんであるのかを決めることができない。

原則4 あなたがどんなことを行っても、それは介入、もしくはゆさぶりになる。     
Everything you do is intervention.
どのような相互接触も、診断に役立つ情報をもたらしてくれる。ちょうどそれと同じように、どのような相互接触も、クライアントと私の双方にとって、何らかの影響をもたらす。したがって、私は、自分がやっていることをよく見極めて、結果として相手に役立つ関係を創り出すという私の目的にかなったものが招来されているか評価しなければならない。

原則5 問題を自分の問題として当事者意識を持って受け止め、解決も自分なりの解決として編み出していくのは、あくまでクライアントだ。

It is the client who owns the problem and solution.
私の職務は、クライアントに役立つ関係を創り出すことだ。クライアントの問題を私自身の肩に背負い込むのは、私の職務ではない。私が生きている場ではない状況に対して、助言や解決を提供するのもまた、私の職務ではない。問題とその解決によって結果がどのようであるにせよ、それをしっかり受け止めるのは、クライアントなのだというのが現実だ。だから、クライアントが厄介に思うものを肩から除去すればいいというわけではない。

原則6 流れに沿って進む。     
Go with the flow.
あらゆるクライアントの会社は、組織文化を発達させており、その文化を維持することによって、会社としての安定性を維持しようとしている。また、クライアントとなるあらゆる個々人もまた、自分自身のパーソナリティ(性格)やスタイルを発達させている。これらの文化にまつわる現実や個性にまつわる現実を当初は知ることができないので、その分、クライアントのどの領域をいじれば、モティベーションが高まり、変革を起こす気になるのかを突き止めないといけない。この敏感な領域に最初は、大きく依拠することになる。

原則7 タイミングがすごく大事。     
Timing is crucial.
どのような介入(ゆさぶり)も、ある時点ではうまくいっても、他の時点ではうまくいかないということがある。したがって、クライアントの注意がこちらに向くときには、いつ何時も診断を心がけ、タイミングのいい瞬間を見つけるようにしなければならない。

原則8 介入で対立が生じたときには、積極的に解決の機会を捉えよ。     
Be constructively opportunistic with confrontive interventions.
どのようなクライアント会社でも、変革を起こそうというやる気がみなぎる領域、つまり、不安定でオープンな領域があるものだ。(流れに沿って進みながらも)変革する気や文化面での強みがその会社に存在するならば、それを見つけて、踏み台にしない手はない。同時に、新たな洞察と、代替案を生み出す機会を逃さないようにしなければならない。流れに沿って進むとはいっても、そのことは、介入(ゆさぶり)に伴う何らかの危険と裏腹なのだ。

原則9 何もかもがデータだと心得よ。誤謬はいつも起こるし、誤謬は、学習の重要な源泉だ。     Everything is data; Errors will always occure and are the prime source for learning.
上記の原則をどんなに注意深く守っていても、私が話すことや行動することは、クライアント会社の中に、予期せぬ反応や、望まぬ反応を生み出すことがある。私は、それらの反応から学ぶようにしなければならないし、何があっても、保身的になったり、恥や罪を感じたりしてはいけない。クライアントの現実についてどんなによく知っていても、誤謬を起こさないほど充分に知ることなどできない。誤謬の一つずつが、何らかの反応を引き起こし、その結果、クライアントの現実をもっとよく学んでいくことができるのだ。

原則10 どうしていいかわからなくなったら、問題を話し合おう。     
When in doubt, share the problem.
次にどのような手を打てばいいのか、どのような介入(ゆさぶり)が適切なのかがわからない状況に置かれることがよくある。このような状況では、問題をクライアントと話し合って、次にどのような手を打つのかの決定に、クライアントを巻き込むのが適切な場合もしばしばだ。

1.書籍名
人を助けるとはどういうことか

2.要約
チームワーク、クライアントワーク、仕事だけではなく本のタイトル通り『人を助けるとはどういうことか』に主眼が置かれた本。
1 純粋な問いかけ  
2 診断的な問いかけ  
3 対決的な問いかけ  
4 プロセス指向型の問いかけ
これらの問いかけが人を助ける仕事においては有効的である。ただし、クライアントが陥りやすい5つの罠(①最初の不信感②安堵③支援の代わりに、注目や安心感、妥当性の確認を求めること④憤慨したり防衛的になったりすること⑤ステレオタイプ化、非現実的な期待、知覚の転移)。そして、支援者が陥りやすい6つの罠(①時期尚早に知恵を与える②防衛的な態度にさらに圧力をかけて対応する③問題を受け入れ、依存してくることに過剰反応する④支援と安心感を与える⑤距離をおいて支援者の役割を果たしたがらない⑥ステレオタイプ化、事前の期待、逆転移、投影)この2つを念頭に置いてコミュニケーションを図る必要がある。

3.学びを得た点
コンサルティングに必要な技術がびっしり詰まっており、いや、コンサルのみならず人間関係を構築していく上で人を助けるということは重要で、助けて助け合う。この関係がとても大切である。とても大切であるが、注意深く対話していかないと問題を発見できない。その注意する点がこの本には書かれている。
特に、学びになった点としてはチームビルディングしかりクライアントワークしかりなんにおいてもオフラインでの環境構築や関係構築が非常に大切であり、みなその時々の状況や環境で役割で演じているんだなぁ。そして、時に演じる必要もあるんだなぁということを学んだ。

4.URL
https://www.amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E3%82%92%E5%8A%A9%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8B-%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AE%E3%80%8C%E5%8D%94%E5%8A%9B%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%80%8D%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8B7%E3%81%A4%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%89%87-%E3%82%A8%E3%83%89%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%BBH%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%B3/dp/4862760600

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この記事を書いた人

1992年生まれ。30歳のときに活力の衰えを感じ、危機感を覚える。テストステロン値の低下が招いたものだと仮説立てる。筋トレを再開してから、活力がみなぎる。趣味はゴルフ。

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